No.30 「マイナス」を「だからこそ」の強みに変える ― 女子バスケ部主将が苦悩の末に掴んだ、感謝と心の成長

「バスケットボールは、本当に楽しいです!」校長室にやってきた女子バスケットボール部主将の川田さんは、開口一番、弾けるような笑顔でそう語ってくれました。練習や練習試合でどれだけ泥臭く苦しい時間があっても、本番の大会で最高のプレーが決まり、自分もチームも一気に盛り上がる。あの最高の瞬間があるからこそ、すべてを懸けて打ち込めるのだそうです。現在、マネージャーを含めて15人(3年6人、2年6人、1年3人)で活動する女子バスケ部。彼女たちが今、必死に向き合っているチームの課題は「数点差、時には1点差で競り負ける壁」を破ることです。
「うちは平均身長が低いし、県外からの有力選手がいるわけでもありません。でも、それを絶対に言い訳にしたくないんです。『だからこそ、このチームにしかできない良い形が作れたんだ』と、一見マイナスに見える状況をプラスに転換できるチームにしたい」
その理想に向かって、練習後には「今日は声が出ていなかった」「気づいた人が先に言えばよかったね」と3年生全員で毎日熱く話し合い、同じ失敗を繰り返さないようにしています。
■ 苦悩を越えて知った「人の痛みに寄り添う」ということ
そんな前向きな川田さんですが、キャプテンに就任して以降、人知れず深い苦しみを味わった時期がありました。
4月に新1年生を迎えた際、後輩たちが不快な思いをしないよう、言動には細心の注意を払っていたつもりでした。しかし、自分たちだけでは解決できない心のすれ違いが起きてしまったのです。最終的には顧問の先生やコーチに間に入ってもらい、時間をかけて解決へと導くことができましたが、「あの時がキャプテンとして一番苦しかった」と率直な胸の内を明かしてくれました。
この大きな試練を通じて、彼女の心に深く突き刺さったのは、1年生の時から先生方からいただいている「周りの人のことがわかるように」「人の痛みがわかるように」という教えでした。自分が1年生だった頃の記憶を必死に手繰り寄せ、「あの時の自分ならどうしてほしかったか」と後輩の立場に立って言葉を掛け、行動する。一つひとつの声かけを真剣に考えることで、彼女は「以前より周りが見えるようになり、責任感が持てるようになった」と、一人の人間としての確かな成長を遂げています。
■ 「一人で背負わなくていい」仲間の支えへの感謝
主将として「自分が誰よりも一番に動かなければ」と気負う川田さんを救ってくれたのは、やはり同学年の存在でした。川田さんが一人で背負い込もうとすると、周りの仲間たちが先回りして動き、彼女にプレッシャーを感じさせない空気を作ってくれる。「本当に助けられているし、心から感謝している」と語る彼女の目には、仲間への深い信頼が滲んでいました。周りの支えがあるからこそ部活に集中できるということ、そして自分や他者の気持ちを冷静に理解できるようになったこと。それこそが、彼女が部活動を通じて得た最高の財産です。
言い訳を捨て、逆境を「だからこそ」のエネルギーに変えて突き進む15人の絆。激しいコートの上で、彼女たちが最高の「楽しい!」を爆発させてくれる日を楽しみにしています。皆様、女子バスケットボール部への温かいご声援をよろしくお願いいたします!